2008年2月24日 (日)

反論らしきものに答えてみる

私は以前、ゲゼルの自由通貨について自分なりに考察したことをブログにアップしてきた。 地域通貨ってそんなに良いものなのか? http://ytrh-tatsuno.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_4984.html やっぱりヘンだよゲゼルの自由通貨 http://ytrh-tatsuno.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_ed80.html ↑に示すとおり私はゲゼルの自由通貨には批判的だし、ブログ「楽農倶楽部」のブログ主である空楽氏の、 >金だけを扱う連中にとってだけ都合の良い現在の経済のシステムを見直して、国単位、自治体単位で自由通貨を運営することを、これからは検討すべき時代ではないでしょうか? という意見には反対だ。その理由は私のエントリーにて十分に書いたつもりだ。そもそも、「1ヶ月ごとに1%減額(1ヶ月ごとにマイナス1%の金利)」というはヘンであり、おまけに貯蓄しようとしても1ヶ月ごとに余計なコストがかかり、スタンプ制度という手間暇がかかるものを利用しなければならないし非効率的だ。また、自由通貨を使って売上を計上して利益を得た場合に対する税金の問題もクリアしていない。 そして私は、 「1ヶ月ごとにマイナス1%の利子」 →例えば100万円を誰かに貸したら、1ヶ月後に99万円しか返してもらえない。 という借金の問題を指摘して自由通貨に対しての批判を行った。すると空楽さんはコメント欄に、 >誰が借金の逃れ方の話をしましたっけ? と反論してきた。私は利子の話をするのであればどうしても借金の話が出てくる、という主旨の反論をしたのだが、空楽氏は、 >意図的に当方の意思を捻じ曲げて伝えるような人にはコメント欄で問答するだけ無駄ですね。 と言ってきた。もちろん私は空楽氏の意図をねじ曲げたつもりはなかったのだが…。 そうしているうちに今度は、空楽氏は私のエントリーに対して反論(?)を述べてきた。 目減りするお金 その2 http://blog.goo.ne.jp/rakuno_club/e/88bf411f198fd0be7397fbaf1278633e >辰乃与太郎氏は自由貨幣の枝葉の問題にたいしてしか述べることをしていない。 >はっきり言って、彼は自由貨幣について学ぶ意思など無いのだろう。 >単にメンツをつぶされたことに対しての当方への私怨で記事を書いているとしか思えない。 どうやら私の批判記事を読んで「メンツがつぶされた」と空楽氏は思いこんだのだろう。私は主にゲゼルの自由通貨に対して批判している(ついでに空楽氏の「国や自治体は自由通貨を採用すべし」という意見に対して反対したのだが)だけで氏のメンツをつぶした覚えは無い。したがって、 「私怨で記事を書いている」 というのは空楽氏のことを指すのだろうか…。 それに空楽氏は「辰乃氏には自由通貨について学ぶ意思など無いのだろう」と言うが、はたして本当に「自由通貨は学ぶに値するもの」なのか大いに疑問である。 >生産物の生産の各過程において、利子が負担となることは原価計算の知識があれば理解できるはずである。 >確かに自由貨幣では貯蓄はしにくいが、現行貨幣の経済システムにおいては物を買うたびに間接的に多くの利子を負担している。その負担は非常に大きい。 原価計算については、正直言って私の勉強不足だ。しかし、原価計算って確か簿記・会計の資格を取るために勉強するものだと思っていたが…。 日本商工会議所: http://www.jcci.or.jp/ 日商簿記: http://www.kentei.ne.jp/boki/ 「工業簿記・原価計算」: http://www.kentei.ne.jp/boki/kubun/03kogen06.pdf 原価計算 (wikipedia): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E4%BE%A1%E8%A8%88%E7%AE%97 どうやら簿記2級の工業簿記や簿記1級の資格を取るためには絶対に必要らしい。あと、知人から「独立・開業するには簿記2級は必須だよ」と聞いていたので原価計算を実際に行うのは経理事務の人や個人事業主くらいなものかもしれない。そう言えば、空楽さんって個人事業主でしたっけ。 一般的なサラリーマンは原価計算のことに無知なのはしかたがないな、と思うけど私個人としては「会社の数字」に関して勉強したいと思うから、まず簿記3級の勉強を始めて資格を取り、しいては簿記2級の勉強をした方が良いのかな。 それにしても「生産物の生産の各過程において、利子が負担となる」のは本当かな? 仮に、ゲゼルの自由通貨が流通する世の中になった場合、「1ヶ月ごとにマイナス1%の利子」というシステムが製造現場とか他のビジネスシーンにどれだけのショックを与えるのだろうか。不可解である。 >>③ 積み立て式の年金なんて不可能 >積み立て式の年金は現行の貨幣制度でも不可能です。 積み立て式の年金は確かにあります。日本の厚生年金&国民年金では「賦課方式」を採用しているだけで「積立方式」を採用していないだけです。 年金 (wikipedia): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E9%87%91#.E3.81.AF.E3.81.98.E3.82.81.E3.81.AB 公的年金 (wikipedia): http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E7%9A%84%E5%B9%B4%E9%87%91#.E7.A9.8D.E7.AB.8B.E6.96.B9.E5.BC.8F.E3.81.A8.E8.B3.A6.E8.AA.B2.E6.96.B9.E5.BC.8F 空楽氏の言うとおり、 >積み立て式の年金は現行の貨幣制度でも不可能です。 とは必ずしも言えないのではないか。しかも賦課方式って今の日本では(少子高齢化のために)問題になっているし積立方式が見直されるかもしれない。 年金積立金管理運用独立法人: http://www.gpif.go.jp/ 空楽氏は年金についてどれだけ勉強しているのか?ひょっとしてほとんど何も知らないのかも知れない。私も正直言って勉強不足だが。 ところで、ゲゼルの自由通貨に対して違和感を感じているのは私だけではないようだ。 例えば、評論家の山形浩生氏は、 http://cruel.org/other/rumors2007_2.html#item2007091001 >ドイツのブンデスバンクが、地域通貨についての論文を発表しているのを発見した。 >ポイントをまとめると:地域通貨なんて目新しいものではないし、根本になっているゲゼルの発想はそもそも変だし(ケインズがほめた一部は確かによい着想だったけれど、それ以外はグタグタ)、現実経済との結びつきについてまったく考えていない! >地域経済の分断によってかえって効率を下げる! >はやっているのは、単に目新しいからで、どのみち大した量でないから少々非効率でもどーでもいい! >ほれご覧、やっぱりそうだろう。論点の相当部分が、5 年も前にぼくがHotWiredで書いたものと同じではないか。我ながらえらいなあ。 >あとこの論文には出てこないけれど、地域通貨における価格(交換比率)決定ってどうやってんのかね。未だに謎。 とかなり否定的だ。↑の「根本になっているゲゼルの発想」って自由通貨のことだと考えられる。 ドイツのブンデスバンクの論文(但し英文): Regional currencies in Germany –local competition for the Euro? http://www.bundesbank.de/download/volkswirtschaft/dkp/2006/200643dkp_en.pdf 今までこのように私なりに分析してみたが、やはりゲゼルの自由通貨って良い物とは言えない。それに、そんなに良い物ならとっくの昔に世界各国が自由通貨を採用して世界中が自由通貨だらけになっているはずだが。 と、ここまで書いてきて空楽氏のエントリーを再度見てみれば、古代エジプトでは穀物を担保にした「減価する通貨」を採用していて、古代ローマに征服されたときにその通貨制度が廃止された、とのこと。 ホントに自由通貨がすばらしいものならば古代ローマ人たちも採用していたはずなのに、何故? 最後に繰り返しになるが、私のような門外漢を空楽氏は説得出来なかったということは、日銀やFRBの連中、その他の政治家とか財務省や経済産業省を説得することはかなり困難ではないだろうか。 それとも、そんなに良い物なら国や自治体に頼らずに何故空楽氏自身が自由通貨を発行して周囲の人々に流通しないのだろうか? ひょっとしたら、空楽氏も自由通貨が「?」なものであることを薄々感じているのかな…。

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